癒し効果の高い森として、池の平温泉を中心とした地域が「森林セラピー基地」に、また笹ヶ峰高原など6ヵ所が「森林セラピーロード」に平成20年4月4日、林野庁から認定されました。
今後、温泉や地場産品の魅力を組み合わせ、訪れたかたが心から癒される郷づくりを進めていきます。
森の中に入っていくと、木々や土の香り、森に息づく命や力を感じることができ、心から安らぎを感じるかたも多いのではないでしょうか。
「森林セラピー」とは、森林での癒し効果を科学的に解明し、森林の持つ力により、現代社会で大きな問題になっているストレスを解消し、心と体の健康に活かそうという取り組みです。癒し効果が森林医学の面から専門家に実証され、周囲の自然環境や関連施設などが一定水準で整備されている場合、「森林セラピー基地」として認定されます。
また、基地と同様に、専門家により癒し効果が証明され、歩きやすさや周辺環境などに配慮した散策路である場合は、「セラピーロード」として認定を受けます。
癒しの郷づくりへ
市では平成19年9月、認定に必要な実験を実施し、癒し効果を科学的に測定。この分析結果に加え、周囲の温泉地や良質な地場産品、環境保全や歩道整備などの取り組みが高く評価され、平成20年4月に認定が決まりました。
妙高には、豊富な湯量と多様な効能を持つ7つの温泉郷があり、入浴法を紹介する「温泉ソムリエ」も数多く活躍しています。また、豊富な水資源と肥沃な大地は、良質な米と野菜をもたらし、旬の食材を使ったおいしい郷土料理は、市外のかたからも好評を得ています。
今後は、こうした地域資源を活かしながら、認定を受けたセラピー基地・セラピーロードに組み合わせ、心から癒され、健康になれる郷づくりを進めます。
森林セラピー基地「妙高」
森林セラピー基地は、美しい自然景観や複数のセラピーロード、健康維持・増進に役立つメニューを提供する施設などで構成されます。
森林セラピー基地「妙高」には、日本百名山の妙高山と火打山をはじめ、日本の滝百選の苗名滝など多くの魅力的な地域資源があります。
また、約40人が自然ガイドとして活躍する妙高高原ビジターセンターのほか、民間の自然学校も充実し、これらの施設では、様々な自然体験プログラムが提供されています。
癒しの道「セラピーロード」
セラピーロードとは、主に緩い傾斜で構成され、一般の歩道よりも道幅を広く取るなど、歩きやすくする配慮がなされた散策路のことをいいます。
妙高には、笹ヶ峰一周歩道や妙高高原自然歩道など6つのセラピーロードがあり、いずれも豊かな森林が広がり、歩きやすい遊歩道が整備されています。それぞれのセラピーロードの特徴は次のとおりです。
笹ヶ峰一周歩道・笹ヶ峰夢見平遊歩道
笹ヶ峰高原は、標高約1300メートルの高地で、湿度が低く、梅雨のない地域といわれています。夏でも涼しく、過ごしやすいのが特徴で、ブナやミズナラの巨木や美しい花を眺めながら、ゆったりと自然散策ができます。>>笹ヶ峰高原
笹ヶ峰一周歩道の見どころ
牛が放牧されている笹ヶ峰牧場や、2000メートル級の山々を水面に映し出す清水ヶ池や乙見湖、本州最大のドイツトウヒ林などを巡る約10キロのコースです。
初夏は、残雪の山々を背景に、キンポウゲやウツボグサなどの高原植物が、可憐な花を咲かせます。
笹ヶ峰牧場では、6月ころから牛の放牧が始まります。のどかな風景が草原に広がり、ゆったりとした雰囲気につつまれます。牧場のほぼ中央には、新潟県の「輝く名水」に選ばれている「宇棚の清水」があります。水の高度は比較的低く、口あたりが柔らかい軟水です。年間を通じて、豊富な水がわき出ていて、わき水地点から数メートルほど先で川になって流れ、清水ヶ池に流れ込みます。
ドイツトウヒ林には、高さ20メートル前後のドイツトウヒ約1万本が、約60ヘクタールにわたり生い茂っています。まるでグリム童話の世界に迷い込んだような錯覚に落ち入ります。
笹ヶ峰夢見平遊歩道の見どころ
笹ヶ峰ダムから、ブナやカラマツなどが繁茂する森の中を進み、季節の花々や巨樹・巨木を見ながら散策する約10キロのコースです。
初夏、神道山のすそ野を巡る平坦な遊歩道の両脇には、カタクリやリュウキンカなどの清楚な花が咲き誇り、夢見平湿地では、ミズバショウの群生に出会えます。
また、ブナの原生林の中を歩いていくと、神彦・道姫と名付けられているミズナラの巨木や、幹回り10メートルの地蔵カツラなど、手つかずの自然の絶景を目にすることができます。
製材所やトロッコ敷、炭窯などの跡が残されていて、造林事業の営みや山中での暮らしを垣間見ることができます。
赤池周辺トレイル
湿原や池、ブナ林を巡る約6キロのコースは、変化に富み、散策する人を飽きさせません。コースの途中の袴岳からは、妙高山や野尻湖、頸城の山々を一望することができます。
コースの見どころ
袴湿原には、ワタスゲやリュウキンカ、周囲にはレンゲツツジをはじめ24種類以上の草花が、4月下旬~9月くらいまで花を咲かせます。
妙高山や野尻湖を見渡せる袴岳など、眺望が開けている場所にはベンチが置かれ、休憩したり、木や草花をゆっくりと観賞したりすることができます。
遊歩道の道幅は広く、草刈などの整備も行き届いています。斜面では、段差の低い、広い階段が設置してあり、非常に歩きやすいコースになっています。
また、全長80キロにも及ぶ信越トレイル(自然歩道)への起点にもあたります。このトレイルは、標高1000メートルに点在する湿原や湖沼を巡るもので、健脚者向けとなります。
平丸ふれあいの森
新井地域の平丸地区に広がるブナを中心とした森を散策する約2.1キロのコース。小川のせせらぎを聞きながら歩くことができます。
>>遊歩道の様子(平成23年6月撮影)
>>遊歩道の様子(平成22年10月撮影)
コースの見どころ
ブナの森は、新潟県森林浴の森百選に選ばれていて、芽吹きや新緑、紅葉の時期には多くのかたが訪れます。
昭和初期までは薪炭林として活用されていましたが、現在では樹高20メートルのブナが密生する、総面積約70ヘクタールの美しいブナの森になっています。
春には、遊歩道の両脇にユキツバキが咲き始め、訪れた人の心を癒してくれます。また森の中では、小鳥のさえずりがこだまし、わき出る二カ所の清水は、人々に涼を与えてくれます。
コースの道幅も広く、たいへん歩きやすくなっています。平坦地には、テーブルとベンチが用意されているので、かすかに通り抜ける風を感じながら、ゆったりとした時間を過ごすことができます。
斐太歴史の里
斐太神社や、国指定史跡の斐太遺跡と観音平・天神堂古墳群、県指定史跡で戦国時代の上杉謙信の出城だった鮫ヶ尾城跡などを巡る約10キロの歴史コースです。
コースの見どころ
斐太歴史の里は、斐太神社を中心とした半径約1キロの範囲に、斐太遺跡と観音平・天神堂古墳群、鮫ヶ尾城跡などが所在する歴史に彩られた里山です。
斐太遺跡は、弥生時代後期後半、今から約1800年前に存在した集落の遺跡です。10万平方メートルを超える低丘陵上に、200軒を超える竪穴建物跡が残されています。
遺跡の一部は、史跡公園及び県民休養地として整備され、気軽に竪穴建物跡などを観察できる場所として人気を集めています。
観音平・天神堂古墳群は、前方後円墳・方墳・円墳から成る古墳群です。約17万平方メートルの敷地に、159基を超える古墳が現存します。雪解けとともにカタクリが咲き始め、古墳の周囲は紫色に染まります。
鮫ヶ尾城は、戦国時代の山城です。遊歩道は、丁寧に下草が刈り取られているため、非常に歩きやすく、無理なく登ることができます。頂上である通称本丸からは、頸城平野や米山、日本海が一望できます。
妙高高原自然歩道
燕温泉・新赤倉の温泉からいもり池を経て、日本の滝百選の苗名滝を巡る15.7キロのコース。燕温泉から新赤倉温泉は、上り下りが厳しく上級者向け。新赤倉温泉から苗名滝は、比較的平坦で、のんびりゆっくりと散策できます。
>>妙高原自然歩道を歩く(平成23年10月作成)
>>いもり池(平成23年7月撮影)
>>苗名滝(平成22年7月撮影)
>>スカイケーブルからの紅葉(平成21年10月撮影・3分22秒からご覧ください)
コースの見どころ
コースの中間点のいもり池には、雪解けとともに約10万株のミズバショウが咲き誇ります。池の周りの遊歩道は、段差が少ないため、車椅子やベビーカーを利用して自然散策を楽しむこともできます。
また、池に隣接するビジターセンターでは、妙高高原の自然や地形、生き物の生態などがわかりやすく解説されています。
苗名滝は、日本の滝百選に選ばれていて、55メートルの高さから流れ落ちる景観は圧巻です。周囲にごう音が響き渡ることから、地震滝の異名をとります。秋には、渓谷の紅葉風景を楽しむことができます。
コース近くの赤倉温泉には、足湯公園があります。足を湯につけ、本を読みながら、または友達と語り合いながら心地よいひとときを過ごせます。血行がよくなり、疲労物質の乳酸が排出されるため、疲労回復効果があります。
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関連ファイル
- 表紙・裏表紙 (PDF 818KB)
- 概要 (PDF 859KB)
- 森林セラピーマップ (PDF 791KB)
- 妙高高原自然歩道 (PDF 734KB)
- 笹ヶ峰夢見平遊歩道、笹ヶ峰一周歩道 (PDF 776KB)
- 赤池周辺トレイル (PDF 697KB)
- 斐太歴史の里、平丸ふれあいの森 (PDF 960KB)
- 食、温泉、トレッキング (PDF 751KB)