岡倉天心と六角堂
赤倉温泉から歩いて1キロ足らずのところに、ひっそりとした小さな庭園があり、その中心には珍しい6角形の建物がある。1959年に美術史家・哲学者の岡倉天心(1862-1913)を記念して建てられた「六角堂」である。日本の木版画を鑑賞したり、日本の茶道の美学を理解したりしたことのある西洋人は、岡倉と彼の著作にその経験を重ね合わせるかもしれない。
岡倉は横浜で生糸商を営む両親のもとに生まれ、地元のミッションスクールで英語を学び、その後、長延寺で漢籍を学んだ。1875年、東京開成学校(東京大学に統合された2つの大学のうちの1つ)に入学した。学士論文は、当初「国家論」という論文を書いていたが、妻との喧嘩の際に焼失してしまった。わずか2週間で完成した岡倉の第2作目の論文は「美術論」である。これが後の岡倉の仕事の指針となる。
岡倉はそのキャリアを通じて、日本の急速な近代化と西洋からの影響による圧力の中で、日本の伝統芸術の保存と普及に努めた。文部省に入り、多くの美術研究所を設立して美術教育を推進した。1904年には、ボストン美術館の学芸員に任命された。岡倉は『The Book of Tea』(1906年)などの英語の本を出版し、日本の茶道とその美学を西洋に紹介した。
後年、岡倉は赤倉温泉の別荘にたびたび静養に訪れ、1913年に死去した。六角堂とその周辺のモニュメントは、岡倉の生涯の功績を記念して建てられたものである。堂内には金色に輝く岡倉の胸像が置かれている。
注意:大雪のため六角堂公園は冬季休業。