移住・定住ホームUIターン者の声雪国暮らしの理想と現実とは?二拠点生活を経て移住した夫婦のアウトドアな毎日

UIターン者の声

雪国暮らしの理想と現実とは?二拠点生活を経て移住した夫婦のアウトドアな毎日

大幡裕之さんと聖子さん

プロフィール

大幡 裕之(おおはた ひろゆき)

出身:兵庫県

移住前の居住地:大阪府

現在の居住地:妙高高原地域

年齢:50代

仕事:フリーランスエンジニア、ロッジオーナー

経歴:会社員(開発エンジニア)

移住年:2021年

 

大幡 聖子(おおはた せいこ)

出身:岡山県

移住前の居住地:大阪府

現在の居住地:妙高高原地域

年齢:40代

仕事:フリーランス(通訳案内士、翻訳ほか)

経歴:会社員(秘書、通翻訳)

移住年:2021年

 

5年間の二拠点生活を経て、2021年に妙高市へ完全移住した大幡さんご夫妻。妙高市内でも特に雪深い、妙高高原のペンション街の一角で暮らしています。現在は在宅でできる仕事等をしながら、ロッジを経営。世界各国のお客様を迎えながら、妙高の大自然の中での暮らしを楽しんでいます。今回は二拠点生活の実際や豪雪地での暮らし、移住する際に気を付けるポイントについてお話を伺いました。

平日は都会で仕事、週末は自然のあるところへ

移住前は大阪府に住んでいた大幡さん。週末になると山や川を、冬は雪を求めて全国を回っていたと言います。元々アウトドア好きだったお2人が地方での暮らしを考え始めるのは、ごく自然な流れでした。

大幡裕之さん

裕之さん(以下敬称略)「仕事の為に都会に住んでいたようなもので、地方に住みたいという思いはずっとあったんです。加えて、宿もやってみたいなと2人で話していましたね。」

とはいえ日本全国、自然豊かな場所はたくさんあります。数ある候補地の中で「妙高市」に対するイメージはどんなものだったのでしょうか。

裕之「私自身、生まれて初めてスキーをやったのが妙高市の赤倉だったんです。父が妙高山が好きで、子どもの頃からよく連れて来てもらっていました。妙高市は『いつ来ても雪がある場所』というイメージ。関西に住んでいるとスキー場に行っても雪がないことがありますから。ただ正直言うと、初めから妙高を狙っていたわけではないんです。」

ロッジの中はアウトドアグッズで溢れている

聖子さん(以下敬称略)「他の地域でもいろいろ物件を見ていました。購入を考えていた場所もあったのですが、タイミングが合わずなかなか決まらなくて。そんな中、たまたま妙高市にスノーボードをしに来る予定があり、せっかくだし物件を見てみようという話になったんです。そのとき見学したのが、今住んでいるこの家でした。一目見て、とても気に入ったんです。」

二拠点生活って実際どうなの?

その後物件を購入した大幡さんは、すぐには移住せず大阪に住所を置いたまま、週末や会社の長期休暇に妙高に滞在する暮らしを始めました。二拠点生活というと、行き来の大変さや2倍の生活コストの負担の他にも、豪雪地においては冬場の除雪の大変さも加わります。大幡さんの購入した物件の周りは例年だと3~4mは雪が積もる地域。週末だけ滞在する生活で、家の除雪や管理は大丈夫だったのでしょうか。

大幡聖子さん

聖子「1年目は記録的な小雪で、すごくラッキーだったんです。当時はこれくらいの積雪量ならやっていけると思いました。」

のちに、それは1年目だけだったことを思い知らされます。翌年からは例年通りの積雪。2年目からは聖子さんが冬に妙高に滞在し、裕之さんは週末に来る日々。日によっては一晩に1m近く積もる日もある中で、聖子さんだけでは到底除雪も追いつかなかったと言います。そんなとき力になってくれたのが、バイトの存在でした。妙高市内にあるアウトドア専門学校の学生や卒業生が除雪や宿業のお手伝いに来てくれたのです。

学生と一緒に塗ったゲストルームの壁

▲学生と一緒に塗ったゲストルームの壁

聖子「バイトの子たちがいなかったら、生活していけませんでした。アウトドア好きの子たちだから力もあるし、この辺りのことも詳しいので、私たちのネットワークも広がって楽しかったです。今もその子たちの後輩に手伝いに来てもらっているんですよ。」

学生が書いてくれたイラスト

▲学生が書いてくれたイラストはゲストにも人気

また、気に入って買ったはずの家の造りにも悩まされたと言います。

裕之「確かに家の形はかっこいいんですけど、複雑な構造をしているので雪が溜まりやすいんです。この家は県外の業者さんが設計したようで、妙高の豪雪については知らなかったんですね。後で、地元の方ならこんな造りにはしないと言われてしまいました。」

二拠点生活をしていた5年間で、リフォームや周りの土地の整備にもかなり手をかけたと言います。

裕之「家選びはよく考えたほうがいいです。雪がどこに落ちるのか、雪捨て場はあるのか、建っている場所は雪が溜まりやすい場所か等、しっかり確認するべきでした。」

家の前の雪の状態

▲家の前の様子(画像提供:大幡聖子)

そんなふうに豪雪地の洗礼を受けたお2人ですが、大変なことはあれど二拠点生活を経て移住してよかったと言います。

聖子「本格的に移住するまでに準備期間があって良かったなと思います。購入した家のリフォームや開業資金のローンも払っていたので、大阪で2人で仕事しながら返済できたことも大きかったです。購入と同時に妙高に来て、新しい生活を始めようとしていたらもっと辛かったと思います。」

四季折々の自然を楽しめるのが妙高の魅力

完全に移住してから1年と少し。「自然をめちゃくちゃ楽しんでます」と裕之さんはうれしそうに話します。

裕之「グリーンシーズンは走ったり、山を登ったり、冬は滑りに行って、毎日天国のようです。」

また今年からはハートランド妙高の貸し農園を利用して、野菜作りにも挑戦しているそう。鍬やスコップなどの無料貸出はもちろん、有料で小型トラクターの貸出も行っているため、農業初心者でもスタートしやすいと教えてくれました。

ハートランド妙高の貸し農園

(画像提供:大幡聖子)

裕之「畑は面白いですね。成長したら、すごい感動します。畑が思ったより広かったので、今年は実験的にいろいろ植えてみたんです。やってみて分かったことを生かして、来年も畑を楽しみたいです。」

妙高のポテンシャルと、自分にできることを掛け合わせて

現在、大幡さんはロッジの経営をしながら、在宅でできる仕事等を組み合わせています。また聖子さんは通訳案内士としてインバウンド旅行者のツアーガイドの仕事も続けています。

ゲストルーム

聖子「妙高のデッドシーズンである11月下旬~12月上旬、3月下旬~4月下旬は大阪や京都でガイドの仕事をしていこうと思います。いわゆる出稼ぎですね。本当は妙高で1年通して仕事が出来たらいいんですけど。」

昨年、サイクルガイドの育成講座を受講したというお2人。今後は自分たちでオリジナルツアーをやろうと考えているそうです。

裕之「今年e-bike(注1)コースを開拓しに行ったのですが、結構面白いところがいっぱいあるんですよね。自転車しか通れない林道とか、妙高山を見ながら走れる場所とか。いいコースは出来ているんですよ。」

今年度妙高市の「がんばる企業応援補助金」を活用してe-bikeを購入。今後は随時参加者を募集する予定とのことです。

聖子「ただ、自由に生きたくて会社員を辞めて移住してきたので、手を出しすぎて忙しくなってしまうのもなと。バランスは難しいですね。」

雪好きなら妙高へ。自分の移住スタイルを貫こう

最後に妙高市への移住を考えている方へメッセージをいただきました。

裕之「なにより雪が好きじゃないと、妙高市で暮らすのは厳しいんじゃないかな。」

聖子「一日除雪して終わったような日もありますからね。それでも私たちは『この後フカフカのパウダーが待っている』と思えるからモチベーションを保てています。だから、降れば降るほどうれしかったり、辛かったりするんです。」

裕之「どんなに除雪が大変な日も、意地でも滑りに行きますよ。1時間でも2時間でもいいから、楽しんでいます。」

家の前にできた雪の壁

(画像提供:大幡聖子)

聖子「あとは、気負いすぎずに自分の移住スタイルを貫けばいいんじゃないかな。今は移住に関する情報が溢れていて、志が高い方や目立つ活動をされる方も多いですよね。私たちも最初は何かしないといけないかなと思ったりもしたけれど、二拠点生活をしているうちにちょっと気持ちが変わってきました。自分たちが希望するスタイルで暮らしていけて、楽しかったらいいんですよね。あとは、雪のことや地域の慣習、ルールについては予め知っておいたほうがよいと思いますよ。」

移住には多かれ少なかれ、理想と現実のギャップがあります。気に入って購入した家の除雪が思ったより大変だったり、リフォーム代や生活費がかさんだり、地域のルールに驚くこともあります。だからこそ、思い切って1ステップで移住するのではなく、二拠点生活を経て徐々にそのギャップを埋めていくことが、これからの長い移住生活を充実したものにしてくれるのではないでしょうか。

自分たちの理想の移住スタイルを持ちつつ、柔軟に形を変えていくための時間を、二拠点生活は与えてくれるのかもしれません。

 

(注1)ママチャリ型の一般的な電動アシスト自転車に対し、クロスバイクやマウンテンバイク等スポーツバイク型電動アシスト自転車

 

  •  二拠点生活をするなら、まずは賃貸で家を借りるのがおすすめ。

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※現在、一軒家の貸し物件は限られています。市内、特に新井地域には賃貸アパートも多数あります。「妙高市 賃貸」などで検索または各不動産会社へお問い合わせください。

 

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クラインガルテン妙高

※申し込み後、順番待ちまたは抽選となります。詳しくはリンク先をご覧ください。

 

  •  二拠点生活の前に!まずはお試し移住をしてみませんか。

短期滞在について

 

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がんばる企業応援補助金