プロフィール
上田 有紀(うえだ ゆき)
出身:大阪府
移住前の居住地:大阪府
現在の居住地:新井地域
年齢:30代
仕事:フリーランス(事務、管理栄養士)
経歴:会社員
移住年:2019年
結婚を機に、妙高市へ移住。その心境は?
旦那さんとの結婚を機に、大阪府から妙高市に移住した上田有紀さん。「知り合いは夫だけ」という状況で生活を始めた上田さんは、どのように妙高の人とのつながりを作ってきたのでしょうか。移住生活を充実させるために意識してきたことや、妙高市で見つけた楽しみについてお話を伺いました。
「私も夫も関西出身です。付き合っていた頃から夫は妙高市に配属されていて、私も何度か遊びに来ていたんです。2人ともウィンタースポーツが好きで。長野や新潟の雪山によく来ていたので、妙高市にもどこか親近感を持っていました。」
その後お2人は遠距離恋愛の末、結婚。上田さんは大阪府から妙高市へ生活を移しました。そのときの心境について、上田さんは当時を思い出しながらこう語ります。
「遊びに来るのではなく『住む』となると不安もありました。『都会と田舎のギャップがあるだろうか』とか『ペーパードライバーだったので車の運転はできるだろうか』とか。あとは何と言っても雪の多さが不安でしたね。」
▲冬には背丈を越す雪壁ができる(画像提供:上田有紀)
上田さんが感じた不安は、移住する多くの人が同じように思うことかもしれません。実際に移住してみて、その不安は的中したのでしょうか。
「思った通り、都会と田舎の暮らしは全然違いました。でもネガティブな意味ではありません。『違う』ということが私にとっては新鮮で楽しかったんです。」
そう明るく語ってくれた上田さんは「元々旅行が好きなんです」と付け加えてくれました。「新しい土地」「新しい人間関係」「文化の違い」を楽しみながら旅をしていたからこそ、「移住」に関してもポジティブに考えられたのかもしれません。
一歩踏み出して広がる世界
とはいえ、移住当初の知り合いは夫だけ。仕事も在宅ワークだったことから、家の外に出る機会も少なく、人との出会いもなかったと言います。そんなとき、ふと目にしたのが「広報協力員の募集」。広報協力員とは「親しみやすい市報」を作るために協力する市民のことで、当時妙高市の新たな取り組みとして公募していました。
「妙高市や市民の方のことをもっと知りたいなと思って応募しました。広報紙には妙高市のいろんな情報が集まってくるので、新たに知ったことも多いですし、市民目線で意見を伝えられるのも楽しいです。」
広報協力員として活動を始めると、いろんなイベントに誘ってもらうことも増えたと言います。その1つである「移住者交流会」では、移住者同士のつながりはもちろん、地元の方との出会いもあったそう。
▲移住者交流会の様子
「仲良くなった地元の方に、その後タケノコ採りに連れて行ってもらいました。山菜採りは初めて行ったのですが、驚きの連続で。私は細いタケノコしか採れなかったのですが、地元の方はすごく太いものを採っていました。その方は崖の方にも採りに行っていて、私は全然追いつけませんでした。新しい体験をするきっかけになり、とても新鮮で楽しかったです。」
一歩踏み出してみれば、都会ではできない様々な体験ができる。そのハードルが低いのも、自然とともに暮らす「妙高暮らし」の魅力だと上田さんは教えてくれました。
旬が並ぶ、日々の食卓
現在、上田さんは在宅で事務の仕事をする傍ら、管理栄養士の資格を生かして市の保健指導の仕事もしています。食への関心が高い上田さんは、妙高市に来て「旬の食材を食べられることも嬉しい」と話します。
「春は山菜、夏はキュウリにピーマン、枝豆。意識しなくても旬の食材が手に入ります。買い物は基本はスーパーに行きますが『この時期、山菜出てそうだよね』と夫と話して、道の駅の直売所に買いに行くこともありますよ。」
そんな上田さんに「妙高市に来て知った食材でお気に入りのものはありますか」と聞いてみました。
(画像提供:上田有紀)
「コゴミですかね。自分で採りに行ったんですけど、コゴミって見た目がすごいじゃないですか。初めて見たとき『どうやって食べるんだろう』『おいしくなさそう』って思いました。でも食べてみたら、すごくおいしくて。マヨネーズや醤油で和えて食べるのが好きです。」
さらに、アパートのベランダで育てている野菜があるとか。
(画像提供:上田有紀)
「夫が『神楽南蛮』を気に入っていて、プランターで育てているんです。神楽南蛮味噌を作ったり、ツナと和えたりして食べます。夫が珍しい食材を料理するのが好きで、私は助手なんです。そうやって2人で様々な食材を楽しんでいます。」
さらに「都会でも珍しい食材が売っていることはあるけれど、買おうとは思わない」とも言います。その理由を聞くと、こう答えてくれました。
「妙高市で売っている食材は、生産地が近く新鮮だと感じるからでしょうか。都会だと新鮮かどうかはわかりませんから」
移住に不安はつきもの。住んでわかる良さを探そう
▲朝になると車は雪で覆われる(画像提供:上田有紀)
妙高市に移住して3年。一番苦労したことを聞きました。
「ウィンタースポーツは好きだったけれど、生活に雪があるのは全く違いました。洗濯物は外に干せませんし、除雪しないと出かけられません。道路除雪はしっかりされていますが、それでも雪道は安全運転になりますし、道が雪でデコボコの所もあります。そういったことを頭に入れての時間管理も必要でした。でも住めば住むほど、うちはまだ楽な方だなと思えるようになりました。一軒家に住んでいる方はもっと大変ですよね。」
上田さんのようにアパートに住んでいれば、家自体の除雪はほとんど必要ありません。必要なのは車の周りや上に積もった雪の片付けくらいです。しかし一軒家に住むと、家の屋根の雪や玄関から道路までの雪を片付けなければなりません。雪に慣れていない方は「初めはアパートに住む」というのも、移住の選択肢の1つです。
「不安はもちろんありましたが、妙高市には住んでわかる良さがあります。私は移住してから『自分からやってみること』を大事にしてきました。自分から聞いて、やってみないと、何も始まりませんから。妙高の方たちはそんな私を温かく受け入れてくれました。それがすごく嬉しかったです。」
▲上田さんのお気に入りのスポット「はねうま大橋」。妙高山が眺められる。
旦那さんも含めて「新しいことへの好奇心」「探求心」が強い上田さん。旅するように、自分たちで見て、歩いて、触れて、知っていくことが、妙高市での楽しい毎日につながっているのでしょう。 「自分からやってみること」 上田さんが大事にしていることは、移住する方にとって「新しい土地での暮らし」を創っていくヒントになるのではないでしょうか。