プロフィール
佐藤 則昭(さとう のりあき)
出身:東京都
UIターン前の居住地:東京都
現在の居住地:新井地域
年齢:40代
仕事:建設業
経歴:美容師、建設業
移住年:2024年
生まれも育ちも東京の佐藤則昭さんは、雑踏とした都会での暮らしが性に合わず、好きなスノーボードとDIYが楽しめる暮らしを求めて妙高へ移住しました。除雪機に乗って道路除雪がしたかった話も含め、建設業についている佐藤さんならではのDIYの様子を中心に話を伺いました。
リノベーションはDIYで「とにかくやってみる」
10年ほど前から移住を考えていた佐藤さんは、大好きなスノーボードで何度も足を運んでいた妙高を移住先に決めると、2023年10月に新井地域を中心に市内の空き家を内覧。ほぼ即決で家を購入し、2024年4月には家族5人と犬2匹で妙高へ移住しました(現在は東京での寮生活を終えた息子さんも同居して6人で生活中)。家の購入から短い期間で移住できたのは、10年もの間移住したいという思い(準備)があったことや、すぐに住める状態の家に巡り合ったこと、そして、DIYでリノベーションできるほど佐藤さんに腕があったことなど、いくつかの巡りあわせがあったようです。
高校生のときに建設業のアルバイトをやったことがきっかけでDIYに興味を持ち、家のリノベーションは大工の友人に基礎工事のみ手伝ってもらった以外は、すべて自分で行ったそうです。二間続きの和室を一部屋にし、天井を取ったら現れたという立派な梁を生かした30畳のLDKには、佐藤さんが絶対に欲しかったという薪ストーブも据え付けられていました。
家のDIYは初めてだったそうですが、動画サイトなどを参考にストーブ周りの左官仕事が必要な腰壁を張る作業や、屋根に伸ばした煙突の取り付けも、すべて佐藤さんが行ったそうです。
「煙突は壁に出すよりも屋根の方が足場が安定していて楽に取り付けられるし、屋根工事は雨漏りしなければいい。不具合が出たら直せばいいわけだから、とにかくやってみた」と何事にも前向きに挑戦したそうです。
ストーブに使用する薪は、家のリフォームで出た廃材や佐藤さんの仕事の現場で出た廃材を利用。骨が折れる薪割りは、いい経験になるとのことで息子さんたちも手伝ったそうです。知り合いに譲ってもらった薪割り機もフル活用して薪も自前で調達していました。
「普通ならお金を払って処分する廃材を再利用できているんです」と、嬉しそうに話す佐藤さんでした。
薪ストーブの遠赤外線効果か、冷え性だった奥様は手や足先の冷えを感じることが少なくなったそうで、体にもお財布にも優しい薪ストーブが冬には大活躍したようです。
また、高床式ではないお宅にもかかわらず、雪よけ板を取り付けていない1階の大きなガラス窓からは、冬の低く差し込む日差しがリビングを明るくしてくれていました。屋根の雪下ろしの後は、雪をすかす作業が大変だったのでは?と尋ねると
「この家には井戸があったので、消雪パイプを埋設し、屋根雪を下した後は井戸水で消雪したんですよ。移住1年目の冬は雪が多くて、まだ消雪パイプの設置が十分じゃないって感じたから、来シーズン以降に備えて追加で消雪パイプを埋設する予定です」とのこと。家の外までDIYしてしまう佐藤さん。「たまたまそういう仕事についていたからできるんですよ」と話していましたが、一般住宅の消雪パイプは業者が設置してくれるものだという固定概念が通らない、佐藤さんの底力を見た気がしました。
深夜出勤でも道路除雪作業はウキウキわくわく
移住で仕事を変えなければならないことは大きな不安要素の一つですが、佐藤さんは市役所から紹介されていた「妙高はねうま複業共同組合」のことを思い出し、最初の働き先として決めたそうです。
就業の実態は派遣社員ですが、経験を生かせる職につくことができ、とりあえず収入を確保できたので移住の不安要素を一つ減らせました。ただ派遣社員の立場では、能力があっても任せてもらえない仕事があり、それでは道路除雪という地域貢献をしたくてもできなくなる。それなら社員として雇ってもらい自分の力を発揮したいということで、佐藤さんは派遣先企業の社員になったそうです。念願の道路除雪作業に携わる準備は整いました。
移住して初めて迎えた冬、シーズン当初は雪が少なく佐藤さんは何となく元気がなかったと奥様は感じていたそうです。大雪が続き、佐藤さんも夜中に出勤する除雪のシフトに組み込まれ、除雪機に乗って道路除雪作業をするようになると「明らかにテンションが変わって元気になっていった」と、奥様は佐藤さんの変化を感じたそうです。「道路除雪もやりたくて妙高に移住したんですよ」と言っていた佐藤さんでしたが、朝までに除雪を終わらせ、そのまま会社に出勤する日々に「これが雪国での働き方の一つなのか」と、新しい経験を経て感じるものがあったようでした。
東京でも雪が降ると、自治体から依頼されて地域の建設業者が除雪を行うため、佐藤さんも重機で除雪した経験があったそうです。でも東京で使用するのは建設作業用の重機で、除雪する場所は坂道のみ。当然、重機には操縦席のキャビンも付いておらず、吹きさらし状態の厳しい環境下での作業だったそうです。その経験があっただけに、キャビン付きの除雪専用機で行う妙高での道路除雪は、深夜出勤もさほど苦には感じず、ウキウキわくわく気分で仕事に当たれたそうです。
挑戦したいことは田んぼづくり
春に移住して妙高の四季を知った佐藤さんですが、お住まいの地域には兼業農家さんが多くいるそうで、その人たちが米づくりをしている様子を見ていると、農家さんは休日に田んぼ作業をしていることがわかったといいます。
「米の価格が高騰しているけれども、会社勤めの合間に米作りをしている人もいるという実態を知ってしまうと、以前の米の価格は安すぎたんじゃないかと思うし、生産者側にしたら最近の高騰した米の価格が適正価格なのではないか」と感じるそうです。
「米作りのコストを考えれば米はスーパーで買った方が安い」と嘆く生産者の思いを佐藤さんは東京の人たちに発信したいと言います。「そのためにも米作りの苦労を肌で感じる必要がある。米作りのことは何も知らないけど、やったことがないことをやってみたい」と、後継者不足に悩むお米の生産地である妙高で心強い話が聞けました。
これから移住する人へ
妙高で住むようになって、ご近所づきあいを経験した佐藤さん一家。移住を検討中のかたへのアドバイスを伺うと
「移住前に近所の人とうまくやっていけるか不安に思う人もいるかもしれないけれど、移住した側が身構えて心の壁を作らなければ、近所の人は優しく接してくれると思う」とのこと。自然体でご近所さんと関わっていた佐藤さんは、夏に食べきれないほどの野菜のおすそ分けをいただいたそうです。
「知らない間に毎日定期便のように家に野菜が届いているんです。生協に入っているみたいでした。しかも大量に置いていってくれるんですよ。大体、誰なのかはわかっているんですけどね」と奥様は笑いながら話してくれました。
せっかく頂いた野菜だから最後まで食べきりたいと、移住してから漬物づくりも覚えたそうです。「夏はほとんど野菜を買わなかった」と、東京では想像できなかったうれしい生活の変化を教えてくれました。
▲美容師の専門学校に行っていた奥様とは お互いの髪を切りあっているそうです
ご近所さんともいい関係を築けている佐藤さん、家族が勢ぞろいし、家は思い通りの形になるようリフォームが進み、仕事も社員として頼られる存在になり、妙高での移住生活は順調な印象を受けました。
あと一つ足りなかったものといえば、リフォームや除雪仕事に時間がとられ、せっかく妙高に移住したのに趣味のスノーボードを楽しむ時間がなかったということでした。次の冬は、家族のゲレンデの送り迎えだけでなく、佐藤さん自身に妙高の雪を楽しんでほしいものです。
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